悔しさの定義。
不当な扱いを受けていると思ったときに心で感じる屈辱。そんな感情を人は「悔しい」と表現する。
友人が泣きついてきた。まぁ普段は愚痴の一つも言ってこないので、相当悔しかったんだろう。
「これこれ、こういう酷いことをされたんだけど、ちょっと子供じみてるよな?」言ってることは最もだと心の中では思いながら、そうだね、それはちょっと酷すぎるよね、とは言えなかった。お互いの感情が理解できるだけに難しい。そして、あたしが思っている以上にこれは繊細だし微妙な問題を含んでる。
もしかすると、彼が感じた屈辱以上のものを相手が抱え込んで苦しんでるとも限らない。
きっと周囲にいるあたしたち自身も、もうちょっと慎重な行動をする必要があるかもしれなかった。あれから疎遠になってしまった彼女との関係も気にはなるものの、どうすることも出来ずにいる。
友だちだったなら、ずっと今も側にいられたかもしれない。あたしはずっとそう思ってた。
かつて一番心の近くにいた人が、ある日突然一番遠くへ行ってしまう。心の準備もないままに、そんな冷たく暗い場所へ置き去りにされた絶望の深さが分かるから
彼女の心の闇を想像して胸が痛んだ。
どんなに元気だよと言ってても、どんなに明るく振舞っていても、ぬぐえようのないぬめりがある。それはどうしようもなくそこにある。絶望的なほどしっかりと根を張って。
心で感じる屈辱は自分以外の誰も理解できない。
ということもあたしはもう分かってしまった。それはあまりにも醜く惨めな姿をしてるから、誰もがそれを隠そうと必死になってる。
だけどどんなにひとりよがりに思えても、それは避けられようもなく心を支配するものなんだ。
悪いのは自分だ。卑屈になってる自分自身だ。だけど分かっていてもどうしようもなかった。全てが憎らしく思えた。あのとき
誰もあたしの気持ちを少しも考えてくれていないと思って悔しくて、全然関係のない友人のことさえ憎んだ。
時間がたてば、自分の起こした罪の深さもようやく理解できる。相手に無茶な要望をつきつけたり、不当な扱いをするよう仕向けたり、自分の傷を言い訳にして、切り札にして、そして結果的には追い詰めてしまった、袋小路へと。
そのくらいされて当然なことをあなたはあたしにしたのよ。・・・まったくね、狂ってる。
何をどうしようと、人が人を傷つける言い訳にはならないのに、そして狂ってた自分を懺悔という形で赦してもらおうとしてた。そんなことをしても罪は消えてなくなるわけじゃないのに。
傷つけたくないから、はなれるしかなかった。辛い決断だったと思うよ。あたしを選んでくれてありがとう
でも、あたしはあなたのようにそれができなかった。だけどそのせいでどこかで誰かが傷ついてるのかもしれない。知らないところで、ひっそりと。
そう思うとやっぱり心がきゅっと硬くしぼむ。
今日は、朝からずっと雨です
はやく、いくばくかでも、雲の隙間から晴れ間が見えますように。見せかけばかりの日差しなどもういらないから